日本は、世界でも地震が多い国として知られています。東日本大震災や熊本地震では、多くの世帯が、ガスの供給停止を余儀なくされました。
都市ガスの供給停止を引き起こす災害には、地震や津波、火災が知られています。
今回は、都市ガスの災害時復旧までの目安と対応、日頃から行う安全対策、非常時や災害時の復旧方法や対応について紹介します。
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ページ内目次
災害時の都市ガスは復旧までの目安はおよそ一ヶ月程度
2011年の東日本大震災では、これまでの経験や想定を超えた巨大な地震・津波により、被災地の都市ガス設備は大規模な被害を受けました。
日本で生活する以上、災害は防ぎようのないリスクですので、2011年に発生した東日本大震災時の都市ガスが復旧するまでの流れを紹介します。
2011年3月11日 供給停止
供給区域内では、震度の大きいエリア約7万戸で都市ガスの供給を緊急停止。
その後、津波の影響で受電設備が損傷したため、ガスの製造が困難になり全面供給停止しました。
2011年3月23日 供給再開
パイプライン方式やLNG(液化天然ガス)タンク、主要導管網には甚大な被害がなかったため、新潟からのパイプラインを活用し、供給を再開しました。
供給再開は、安全優先のため各住居を訪問・開栓作業を実施し、二次災害の防止に努めました。
2011年4月16日 復旧完了
避難勧告区域などの一部地域を除き、約31万戸の開栓作業が完了。
全国の都市ガス事業者の応援や協力もあり、東日本大震災時は約1ヶ月で復旧できました。
都市ガスは地下配管を通して各家庭に供給されるため、復旧時には地中のガス管が安全に使用できるかを確認する必要があります。
ガスボンベから配管を通して個別供給されるプロパンガスと比べて、調査や点検に時間がかかるため復旧が遅くなります。
ざっくり東日本大震災時の都市ガス復旧までの流れを紹介しましたが、より詳しい復旧までの流れは『東日本大震災復旧の記録』をご覧ください。
都市ガスの災害時の対応
ガス供給に関係する警戒が必要な災害は、地震や二次災害として発生する火災です。
都市ガスは地震でも安全かつ安定的なガス供給を実現するため、3つの対策を推進しています。
予防対策
ガス管の地震被害を最小限に抑えるため、耐震性に優れているガス管としてポリエチレン管の設置を促進しています。
ポリエチレン管は、強度と伸びやすさが特徴的です。腐食に強く地震によるガス漏れの心配がありません。
緊急対策
二次災害を防止するためガスの供給エリアを分割し、エリアごとの供給停止や停止範囲を最小限に抑えるように努めています。
局所的な地震被害には、被害が大きい地域のガスを供給停止しますが、被害の少ない地域はガスを供給継続できます。
一般家庭ではマイコンメーターが、震度5相当以上の地震を感知した場合、ガスの供給を自動停止します。
一般家庭を含め二次災害を防止します。
復旧対策
地震発生後の対策として、大規模災害時にはガス供給の早期復旧に向けて、全国の都市ガス事業者が一丸となり、応援・協力体制を整えています。
地震被災時に迅速かつ的確な防災活動を実施するため、知識教育と実践訓練を定期的に実施しています。
マイコンメーター復旧方法
- すべてのガス機器を止める
- 復帰ボタンのキャップを外す
- 復帰ボタンを押し、表示ランプが点滅したら手を離す
- 3分ほど待ち、赤ランプの点滅が消えたことを確認する
- 復旧完了
マイコンメーターは、ガスの使用量を計量するだけではなく、コンピューターが使用状態を24時間監視する機能も備えています。
ガス機器の長時間使用や圧力低下、異常なガス消費が疑われるとき、震度5相当以上の地震の揺れを感知したときにガスを遮断します。
設置場所は、一戸建ては住宅の外壁が多く、マンションやアパートは玄関脇や共用廊下、扉(メーターボックス内)に多いです。
マイコンメーターの復旧方法
1.すべてのガス機器を止める
器具栓を閉じるか、運転スイッチを切りすべてのガス機器を止めます。
室内だけではなく、室外のガス機器も忘れずに止めてください。
※メーターガス栓(ガスメーターの元栓)は開けたままにします。
2.復帰ボタンのキャップを外す
キャップを左に回して取り外します。
3.復帰ボタンを押し、表示ランプが点滅したら手を離す
復帰ボタンを親指でしっかりと奥まで押し、キャップを元に戻します。
4.3分ほど待ち、赤ランプの点滅が消えたことを確認する
点滅中の約3分間はガスを使わないでください。ガスメーターがガス漏れを確認しています。赤ランプの点滅が消えない場合は、ガス機器の止め忘れやガス漏れが考えらえますので「1.すべてのガス機器を止める」に戻り、もう一度復旧作業をしてください。
5.復旧完了
ガスが通常通り、使用できます。
災害時に慌てないために日ごろから行う安全対策
災害時に慌てないためには、日ごろから行う安全対策が大切です。
日頃のお手入れやガス機器、設備の安全対策をご紹介します。
日常のお手入れ
ガス機器や換気扇の清掃・点検は定期的に行いましょう。
ガスコンロの汚れやゴミが溜まっていると、引火して火災につながります。ガスコンロの五徳周りや暖房機裏側のフィルターも定期的に掃除します。
ガス機器やガス管の劣化・破損の確認
ガス機器やガス管の劣化や破損は、ガス漏れ事故を引き起こします。
特にガスコンロのゴム管は、劣化するとひび割れが起きやすいため、定期的に点検・交換しましょう。また、ガス機器の周りには、燃えやすい物を置かないようにしてください。
棚から物が落下し、燃え移りの原因になります。
ガス警報器の取り付け
日常的にガス漏れを監視するガス警報器の設置も安全対策に有効です。
最近のガス警報器は、ガス漏れを感知すると音声で伝えるタイプが多いため、離れていても気づきやすく便利です。一酸化炭素警報や火災警報の機能が付いたものもあり、安全性を高めることができます。
実際に地震が発生した際には、身の安全を最優先にしましょう。
机やテーブルの下など安全な場所に避難し、揺れが収まるのを待ちます。
マイコンメーターや最新式のガスコンロは、大きな地震の揺れを感知すると自動消火機能がついていますので安心です。地震の揺れが収まったら火を止めてガス栓を閉めます。
都市ガスは、マイコンメーター周辺のメーターガス栓を閉めることで、ガスを遮断できます。事前に位置を確認しておきましょう。
災害時はガス会社の供給情報を取得しよう
災害時にガスが供給停止してしまうと、ガス会社への問い合わせが増加し、電話がつながりにくくなります。
災害発生直後は、混乱状態や不安な気持ちになりやすいですが、落ち着いて行動することが大切です。
テレビ・ラジオ等の報道機関、ご契約のガス会社がホームぺージや公式SNS(FacebookやX:旧Twitter)で供給状況や復旧状況をお知らせしていますので確認してください。
一部のガス会社では、ホームぺージ上で供給停止区域の復旧進捗状況を閲覧できます。
地図上に「供給停止」「ガス管の点検中」「ガス設備の点検中」「復旧完了」が色分け表示されているので一目で判別できます。
住所検索や地番単位まで地図を拡大表示できるため、住居ごとのガスの供給停止や復旧進捗状況が確認できるので利用しましょう。
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