給湯器の故障や不具合により、取替えを検討している人もいるでしょう。
給湯器には、お湯を沸かす仕組みによって様々な種類があります。
また、機能や設置場所によって選び方も異なります。今回は、給湯器の種類や給湯器を選ぶ際のポイントを紹介します。
自宅に合った給湯器を選ぶ際に、ぜひ参考にしてください。
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ガス給湯器
ガス給湯器は、ガスを燃料にして水の温度を高くする機器です。
お湯を使用する際に、配管の中を流れる水をバーナーで加熱して供給する仕組みになっており、お湯が必要な時に必要な量を使えるメリットがあります。
ガス給湯器を選ぶ際には、機能や使用環境に応じたタイプを選ぶ必要があります。
ガス給湯器の代表的な4つの種類を紹介します。
給湯専用
給湯専用タイプは、蛇口やシャワーへの給湯に特化した給湯器です。
シンプルな設計のため、他の給湯器に比べて価格が安いのが特徴です。
浴槽にお湯を溜める際には、蛇口を捻ってお湯を溜める必要があり、手間に感じる方もいるかもしれません。
単身世帯やアパートなど、少人数で住むことを前提とした住まいに設置される場合が一般的です。
エコジョーズ
エコジョーズは、ガスを燃焼して、一次熱交換器内を通る水を温水に変えます。
従来の給湯器で捨てていた排気熱を活用して、二次熱交換器で水を予備加熱します。
二次熱交換器で温めた水が一次熱交換器へ送られるため、少ないガス量で効率よくお湯を沸かせます。
エコジョーズでは、200℃の排気熱を50℃まで下げる際に水蒸気が発生し、結露するため、ドレン水が排出されます。
エネファーム
エネファームは、都市ガスやLPガスなどの燃料エネルギーを電気と熱に変換します。
燃料から水素を取り出し、燃料電池に供給・発電して、排熱でお湯を沸かします。
発電所で使用する汽水型火力発電では、使用エネルギーから電気として抽出される割合は37%に対して、エネファームでは、電気とお湯を合わせて81%に上ります。
お湯を給湯や暖房に利用することで、今まで湯沸かしや暖房に使用していたガス・電気を節約できます。
エネルギーを有効活用するので、省エネにも効果的です。
ハイブリッド給湯器
ハイブリット給湯器は、電気とガスの特徴を活用して、お湯を沸かします。
空気中の熱を活用する電気式ヒートポンプで、加熱した一定量のお湯を貯湯タンクに貯めます。
タンク内のお湯がなくなった際には、高効率ガス給湯器に運転を切り替えて、必要なお湯を瞬時に供給する仕組みです。
光熱費が安いエコキュート(電気)の機能でお湯を貯めて、お湯が切れてしまった時にエコジョーズ(ガス)の機能で素早くお湯を沸かします。
ハイブリッド給湯機は、家庭の使用量・時間帯などの特徴を学習して、貯湯タンクにお湯を貯める際の湯温・湯量・貯湯タイミングが省エネになるように最適化されており、家庭用給湯機としては、最も少ない一次エネルギー使用量で済みます。
電気給湯器
電気給湯機器とは、電気を利用してお湯を作る給湯器と、ヒートポンプ給湯機の総称です。
電気給湯器は、ガス湯沸器や灯油などの油炊きボイラーのような燃料を必要としないため、安全かつクリーンで環境に優しい製品です。
一酸化炭素・二酸化炭素が発生せず、換気設備も不要なため、ガス漏れの心配もありません。
電気給湯機器の代表的な2種類を紹介します。
エコキュート
エコキュートは、大気中の空気の熱を熱交換器の冷媒が取り込みます。
取り込まれた熱をヒートポンプ内の圧縮機で高温にまで上げて、お湯を作ります。
貯湯ユニットに貯めたお湯は、お風呂や台所、洗面で使用できます。
水側熱交換器で熱を奪われた冷媒は膨張弁に運ばれ、低温になります。貯湯タンク内の高温のお湯は、設定温度になるまで水を混ぜて、給湯されます。
エコキュートは、昼間には電気を使わず、夜間に運転するため、昼間の電力需要を夜間の時間帯に移行させるピークシフトに役立ちます。
電気温水器
電気温水器は、金属に電気を流して、電熱ヒーターを発熱させることで、水を温める仕組みです。
お湯は貯湯タンクに貯められ、使用するまで一定の温度に保たれます。
電気ポットを想像してもらえるとわかりやすいでしょう。
ガス給湯器の選び方
ガス給湯器には、号数や追い焚き機能、設置場所によって選び方が異なります。
ここでは、ガス給湯器の選び方を紹介します。
追い焚き機能の有無
ガス給湯器を大きく分類すると、『追い焚き機能を備えたタイプ』と『追い焚きが機能が付いていないタイプ』に分けられます。
さらに、追い焚き機能を備えたタイプには、『ふろ給湯器』と『給湯暖房熱源機』の2種類に分けられます。
蛇口からお湯を出すことと、お風呂の自動湯張りはどちらも可能ですが、『給湯暖房熱源機』は、床暖房や浴室乾燥機などの温水暖房機能を備えています。
追い焚き機能が付いていないタイプも『給湯専用』と『高温水供給型』の2種類に分類できます。
『高温水供給型』は、給湯専用タイプに自動湯張りと、高温のお湯をたし湯できる機能が追加されています。
号数
給湯器の号数は、『1分間に水温+25℃のお湯をどれだけの量(L)を出すことができるか』を表した数値です。
一般的に単身世帯では16号、2~3人家族では20号、4人以上の家族では24号がおすすめです。
小さい号数を選んでしまうと、同時にお湯を使う場合に湯量が少なくなるかもしれません。
号数選びでは、冬に必要なお湯の量を基準にしてください。
冬は気温が下がるので、『水温+25℃のお湯が1分間に出る量』は夏よりも減少します。
気温が5℃の時と25℃の時では40℃のお湯を作るために必要なパワーが異なるため、夏より冬の方がお湯の出は悪くなります。
寒い冬に必要な分のお湯が出せる号数を選ぶと快適に使用できます。
設置タイプ(マンションor戸建て)
ガス給湯器は、設置場所が『マンション』か『戸建て』かでも設置方法が異なります。
設置タイプは、それぞれ以下になります。
タイプ | 特徴 | |
マンション | PSタイプ | ・マンションの玄関横のパイプスペース(PS)に設置 ・扉は付いていない |
ベランダ壁掛タイプ | ・マンションのベランダの壁に設置 ・給湯器の下から配管が出ている | |
戸建て | 壁掛タイプ | ・屋外の壁に掛けて設置 ・給湯器の下から配管が出ている |
据置タイプ | ・給湯器を地面やブロックの上に設置 ・給湯器の側面から配管が出ており、浴槽に穴が一つ | |
浴槽隣接設置タイプ | ・浴槽の近くに設置 ・浴槽の上下2つの穴でお湯を循環させる |
製品の購入前に確認をしておきましょう。
給湯タイプ(オート・フルオート)
オート機能とフルオート機能は、お風呂に関わる機能を自動で行うか全自動で実施するかによる違いです。
オート機能は、湯張りから追い焚き、保温まで自動で行い、フルオート機能は、湯張りから追い焚き、保温、たし湯までを自動で行います。
フルオート機能には、『追い焚き配管自動洗浄』の機能があるのも特徴です。
毎日の入浴で使用する追い焚き配管には、雑菌が溜まっています。
フルオート機能では、浴槽の栓を抜くだけで、追い焚き配管を自動洗浄してくれます。
汚れや水アカ・入浴剤も洗い流してくれるので、いつでも清潔に入浴ができます。
エコ機能の有無(エコジョーズか非エコジョーズ)
給湯器には、通常の給湯器(非エコジョーズ)と効率よくお湯を沸かせるエコジョーズ給湯器があります。
エコジョーズ給湯器は、通常の給湯器より約10~15%のガス消費量を抑えられます。
エコジョーズは、ガスの使用量が増加するほど、削減できるガス代も大きくなります。
月々のガス代が高いと感じている方、ガスの使用量が多い家庭におすすめです。
電気給湯器の選び方
電気給湯器もサイズや機能によって、製品が豊富にあります。
ここでは、電気給湯器の選び方のポイントを紹介します。
タンク容量(サイズ)
タンク容量は、タンクに貯められるお湯の容量です。
お湯を使用する人数を基準に選ぶとよいでしょう。
家族人数とタンク容量の目安は、以下になります。
家族人数 | タンク容量の目安 |
1~3人 | 300L |
3~5人 | 370L |
4~7人 | 460L |
5~8人 | 550L |
1日にシャワーを複数回浴びる習慣があるなど、想定湯量が多い家庭では、一回り大きめのタンク容量を選ぶと安心です。
関連3人・4人・5人家族におすすめなエコキュートのサイズ(容量)選び方
形(角型・薄型・コンパクト型)
タンクの形状は、敷地や設置スペースに合わせて3種類から選べます。
タンクの形状 | 特徴 |
角型 | ・戸建て住宅向き ・さまざまなメーカーが販売しており、ラインナップが豊富 |
薄型 | ・奥行きが薄く、場所を取らない ・隣家との隙間が狭い場所におすすめ ・目立たせずに設置が可能 |
コンパクト型 | ・角型より設置面積を小さくした省スペース設計 |
搬入スペースも考慮して、自宅の敷地や設置環境に応じたタイプを選びましょう。
給湯タイプ(オート・フルオート)
オートタイプでは、自動湯張り・沸き増し・お湯張りの機能があり、足し湯は手動で行います。
フルオートタイプは、オートタイプの機能の他に、追い焚き・配管清浄と自動足し湯の機能を備えています。
フルオート機能は、お風呂に複数人で入り、お風呂の温度や湯量が安定しない場合や、配管内を清潔に維持したい方におすすめです。
環境対応(寒冷地・沿岸)
エコキュートは、空気中の熱を利用して給湯するため、使用できる最低気温の条件があります。
一般地域より寒い地域や、海に面した海岸地域では、地域環境に適したエコキュートを選ぶ必要があります。
北陸や東北地方など、最低気温がー10℃以下になる寒冷地では、『寒冷地仕様』の製品を選びましょう。
寒冷地仕様であれば、外気温がー20℃の地域でもお湯を沸かせます。
また、海外に近い場所では、空気中の水分に塩分が多く含まれており、金属が腐食しやすく故障の原因になるため、塩害地仕様のエコキュートを選ぶと良いでしょう。
塩害地仕様は潮風でサビないように、防錆効果を向上させているのが特徴です。
自宅にあった給湯器を設置しましょう
給湯器には、お湯を沸かす仕組みや特徴によって、様々な種類があります。
今回、紹介した給湯器の種類と選び方のポイントは以下になります。
ガス給湯器 | 電気給湯器 | |
種類 | ・給湯専用 ・エコジョーズ ・エネファーム ・ハイブリッド給湯器 | ・エコキュート ・電気温水器 |
選び方 | ・追い焚き機能の有無 ・号数 ・設置タイプ (マンション・戸建て) ・給湯タイプ (オート・フルオート) ・エコ機能の有無 (エコジョーズ・非エコジョーズ) | ・タンク容量(サイズ) ・形(角型・薄型・コンパクト型) ・給湯タイプ(オート・フルオート) ・環境対応(寒冷地・沿岸) |
機能や設置場所、地域の他にもコスト面も考慮して、検討することが大切です。自宅に合った給湯器を選び、快適に活用しましょう。